マルハナバチは、花蜜や花粉を運ぶことを生活の中心としているハチです。
女王バチとメスの働きバチが助けあって巣の中の幼虫を育てます。
マルハナバチは、いったいどういったところに生息しているのでしょうか。
また、ミツバチなど、他のハチとはどういった違いがあるのでしょうか。
目次
マルハナバチは、その長く色鮮やかな体毛と、顔の形が種類によって異なるのが特徴です。
世界中に約250種類のマルハナバチがいるとされており、日本には15種種類(亜種を含め22種)がいます。
日本で見られるマルハナバチは、クロマルハナバチ、オオマルハナバチ、ナガマルハナバチ、トラマルハナバチなどが代表的で、全部で15種類、亜種を含めると22種です。
マルハナバチはミツバチのような巨大な集団生活は行わず、こぢんまりした家族生活をいとなみます。
蜜を出さないトマトにも花粉媒介を行うため、温室トマトの受粉用に利用されています。
マルハナバチは、女王バチ1匹と、数10から数100匹のメスの小型の働きバチとが1つの巣の中で共同生活をいとなんでいます。
女王バチの生涯は以下のような流れになります。
① 新女王が誕生すると、前代の女王は絶命
② 新女王は、オスバチと交尾し、1匹で土の中で越冬
③ 春に冬眠から覚めると、巣をつくる適当な穴、たとえばネズミの古巣などを発見
➃ 見つけた巣に働きバチの卵を産み、育児のためにいっしょうけんめい花から蜜を採取
⑤ 働きバチが増えてくると、女王バチは産卵に専念し後継の女王バチとオスバチを産卵
⑥ 新しく誕生した女王バチは、オスバチと交尾した後土の中に入って越冬
マルハナバチは1匹1匹がエサを集めて巣に持ち帰り、ミツバチのようなダンスをしてコミュニケーションを取る能力をもちません。
また、巣を使うのは、最長でも春から晩秋にかけてのみです。
マルハナバチの主な生息地は、北半球のユーラシアの温帯から寒帯地域にかけてですが、南半球の南米のアルゼンチンやブラジルなどでも生息しています。
標高の高い山岳地帯にもその姿が確認されており、亜熱帯の台湾や東南アジアでも確認されます。
日本のマルハナバチは、本州の中部山岳地帯で多く生息しているようです。
一方、ミツバチの方は、アジアや欧州アフリカといった高温な地域に生息しています。
日本の野生のミツバチは、全国的に生息し、北海道、沖縄、あるいは、奄美大島、屋久島、種子島、隠岐島、屋代島(周防大島)、小豆島などの離島にも見られます。
マルハナバチの性格は穏やかな性格なので、積極的に人を刺すことはありません。
ミツバチも、マルハバチ同様おとなしい性格で、むやみに人を刺すことはありません。
マルハナバチは、冷涼な気候の地域に分布しており、天候不順や低温条件下でも訪花活動が可能です。
また、行動半径は約800メートル程度なので、閉鎖空間への適性の高さがうかがえます。
一方、ミツバチは温暖な地域に分布しており、天候不順や低温化での活動は苦手です。
また、活動半径も数キロメートルと広いため、狭い空間はあまり得意ではありません。
マルハナバチはハウス栽培の受粉を助ける昆虫であり、舌が短いものと長いものがいます。
舌の短い方は、蜜源までの距離が短いキク科などの植物の密の採取が専門です。
一方、舌の長い方は、蜜源までの距離が長いトリカブトなどの密を採取します。
セイヨウミツバチなども花粉を媒介するハチとして、私たちに蜂蜜をもたらしてくれることで有名です。
しかし、セイヨウミツバチは、天気の悪い日は施設の中であっても受粉活動をしないという性質があります。
一方、マルハナバチの方は、蜜や花粉をたくさん巣に蓄えることができないので、多少天気が悪くても一生懸命活動をします。
さらに、マルハナバチは体中が毛でおおわれているので、花粉を効率的に集めることが可能です。
以上のことから、マルハナバチは優秀な送粉者といえるでしょう。
もともと日本では、ヨーロッパ原産のセイヨウオオマルハナバチを、トマトのハウス栽培の花粉媒介昆虫として利用してきました。
セイヨウオオマルハナバチは外来種なので、利用に許可が必要でしたが、在来種の生態への影響が問題となり、2019年9月以降は新たな利用ができなくなりました。
そこで、在来種であるクロマルハナバチがセイヨウオオマルハナバチの代わりに利用されるようになってきたのです。
在来種であるクロマルハナバチは、飼育に関する許可が不要な点も大きなメリットといえるでしょう。
マルハナバチは、攻撃性は低く、スズメバチのように、一方的に相手に攻撃をしかけてくるようなことは基本的にありません。
とはいえ、万が一刺されてしまった場合は、まずは、落ち着いて口やポイズンリムーバーで毒を吸い出しましょう。
次に、患部から毒をしぼり出して流水で流し、幹部はばんそうこうなどで保護します。
顔面が蒼白になったり、全身の震えが出たり、アナフィキラシーショックという嘔吐などの症状が出たりした場合は、大至急、病院の診察を受けましょう。
マルハナバチはミツバチが送粉などの仕事が苦手な環境でも活躍できます。
しかし、ほとんどの日本のマルハナバチの生態情報は、ヨーロッパのセイヨウオオマルハナバチの生態情報を参考にしているため、よくわかっていない点も多々あります。
今後は、ますます正確なマルハナバチの生態情報の入手が求められるでしょう。
ミツバチやマルハナバチのそれぞれの活動特性を理解したうえで、お互いに最適な作物や環境で利用するのが最良の策ではないでしょうか。
808シティ株式会社 代表取締役社長
足立雅也
大手害虫駆除業者で様々な害虫駆除を体得し、その技術を競う全国大会で優勝実績を持つ。
現場で作業にとどまらず、関連する協会や学会の役員を務めるなど、業界活動にも意欲的で、数々の講義・講演を行っている。
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